自動アップデートツール(mlupdater)マニュアル


  1. 目次

    1. 目次
    2. mlupdaterとは?
    3. ライセンス
    4. ライセンスサーバ
    5. アップデータの機能
    6. 手動アップデータ(mlupdater)
    7. 自動アップデータ(mlupdaterd)
    8. 配布サーバ
    9. 設定ファイル
    10. 注意事項
    11. FAQ
    12. APPENDIX

  2. mlupdaterとは?

    MIRACLE LINUXシステムは、数百のパッケージにて構成されています。 これらのパッケージにセキュリティホールやバグ等の大きな問題が発見され修正された際には、ミラクル・リナックス社のサイトにてアップデートパッケージが公開・配布されます。

    いままでは、これらのアップデートパッケージは手動にてダウンロード・アップデートを行う必要がありました。
    mlupdaterはそのような手間を軽減し、システム上にインストールされているパッケージ群に対する最新パッケージのダウンロード・インストールまでを一括して行うツールです。

    mlupdaterは、OSインストール後90日間無償にて利用することができます。
    また、ミラクル・リナックス社の提供する有償サポート契約をご利用の場合、別途ライセンスパスワード発行申請をして頂くことで、mlupdater を有償サポート契約期間中ご利用できます。(詳細はIII.ライセンスを参照ください)


    セキュリティ上の制約からサーバファームに存在するサーバ全てが  外部ネットワークとの通信が行えないケースでも、配布サーバにCD-Rや  USBハードディスクなどでミラクル・リナックスのパッケージ配信サーバの内容を  コピーすることにより、サーバファームのサーバが配布サーバから  mlupdaterを利用することができます。

    ※mlupdaterはMIRACLE LINUX V2.1以上に対応しています。


  3. ライセンス

    mlupdaterを利用するには、ライセンスが必要です。
    mlupdaterインストール時に、OSインストール後90日間利用できるライセンスがインストールされます。利用期間が過ぎるとmlupdaterが利用できなくなりますのでご注意ください。
    有償サポート契約をされた場合、ミラクル・リナックス社のmlupdaterライセンス発行ページにてライセンスパスワードが発行されます。
    発行されるライセンスパスワードはmlupdater利用形態に応じて以下のような2種類が存在します。

    1. スタンドアロン・ライセンス

      ライセンスを登録したホスト1台に限定して利用できるライセンスです。ライセンスパスワードは、mlupdater を実行するホストの /etc/mlupdater/mlupdater.conf ファイルに設定します。

    2. ライセンスサーバ・ライセンス

      有償サポート契約台数が2台以上ある時に利用できるライセンスです。
      スタンドアロン・ライセンスでは、1台1台にライセンスパスワードを設定する必要がありますが、ライセンスサーバ・ライセンスの場合、ライセンスサーバを起動させるホスト1台だけにライセンスパスワードを設定するだけで済みます。
      ライセンスパスワードは、ライセンスサーバを起動させるホストの /usr/share/mllm/mllm.licファイルに設定します。
      また、代表サーバを利用する場合も本ライセンスサーバライセンスを利用する必要があります。


  4. ライセンスサーバ

    アップデータは単独で動作する場合、自らライセンスパスワードの解析を行い、ライセンスの検証を行います。MIRACLE LINUXシステムが多数台存在するような環境において一台一台ライセンスパスワードを設定するには手間がかかるため、ライセンスサーバ・ライセンス機能が用意されています。ライセンスサーバ・ライセンスはすべて一つのライセンスサーバで管理されます。アップデータは起動時にライセンスサーバに問い合わせ、ライセンスを一つ占有します。終了時にはライセンスはリリースされます。

    また、代表サーバを利用する場合も本ライセンスサーバを利用する必要があります。

    1. ライセンスファイル(/usr/share/mllm/mllm.lic)の書式

      ライセンスファイルの書式は以下のようになります。

      MLUPD:ライセンス数:ライセンス期限:ライセンスパスワード
      

      ミラクル・リナックス社のmlupdaterライセンス発行ページにて発行された文字列をそのまま記述してください。

    2. ライセンスサーバの起動

      以下のように実行してライセンスサーバを起動してください。

      mllmd-1.1.x以前の場合
      # mllmd &
      
      mllmd-1.2.x以降の場合
      # service mllmd start
      
    3. ログ

      ライセンスに関するログは、/var/log/messagesに記録されます。


  5. アップデータの機能

    mlupdaterには以下のような機能が実装されています。


  6. 手動アップデータ(mlupdater)

    手動アップデータ(mlupdater)は、アップデートパッケージの検索、ダウンロード、およびアップデートを行います。アップデートするパッケージは画面上でインタラクティブに取捨選択することができます。

    手動アップデータの動作は一部/etc/mlupdater/mlupdater.confの設定に従うので、その内容を確認してください。

    以下手動アップデータ操作手順です。

    1. 起動

      端末から以下のように実行してください。

      # mlupdater
      

      また、以下のように-tオプションを指定することにより、テストモードでの起動ができます。テストモードの場合は、実際にアップデート処理が行われません。

      # mlupdater -t
      

      アップデータを起動すると、以下のような動作モードの選択画面が表示されます。

      "PACKAGE UPDATE" あるいは "DOWNLOAD ONLY" を選択し "NEXT" ボタンを押してください。

      • PACKAGE UPDATE は、パッケージのダウンロード・インストールを行います。
      • DOWNLOAD ONLY は、パッケージのダウンロードのみを行います。

    2. アップデート情報の取得

      アップデータを起動すると、まずミラクル・リナックス社のサイトにアクセスし、自動的にパッケージのアップデート情報一覧の取得を行います。

      アップデートパッケージの一覧情報の取得を完了すると、システムにインストールされているパッケージとの比較処理がはじまります。これには数分かかる場合があります。



    3. パッケージの選択

      システム内にインストールされているパッケージとの比較処理が終了すると、アップデートインストールあるいはインストール可能なパッケージの一覧がリストアップされます。システム内にインストールされているパッケージのうちアップデートが可能なパッケージは、デフォルトで選択されます。
      "Clear"ボタンを押すことにより選択状態を全て解除できます。

      スペースキーを押すとカーソルのあるパッケージが選択されます。また、選択状態にあるパッケージ上で再度スペースキーを押すと、選択状態が解除されます。

      パッケージが選択状態にある時、該当パッケージのチェックボックス内の値が以下のように変化します。

      状態
      Uインストール処理時にアップデートモードでインストールされます。
      Iインストール処理時にインストールモードでインストールされます。システム上にインストールされていないパッケージを選択した場合や、/etc/mlupdater/mlupdater.conf内のauto_update.install_packagesに該当するパッケージを選択した場合、この状態になります。
      D他のパッケージを選択した際に、依存性解決のために要求され自動的に選択されたパッケージです。

      また、一覧上のパッケージ情報には以下のような符号が付与されそれぞれ意味を持ちます。

      状態
      *システムにインストールされているパッケージに対するアップデートパッケージです。
      -システムにインストールされていないパッケージに対するアップデートパッケージです。

      パッケージ選択が終了した後、"NEXT" ボタンを押すと次の処理へ進みます。

    4. ダウンロード&インストール

      選択したパッケージ群のダウンロードが開始されます。

      すべてのパッケージのダウンロードが完了するとパッケージのインストールが開始されます。"DOWNLOAD ONLY" を選択していた場合は、処理はここで終了します。

      Developer CDに含まれるパッケージのアップデートを行うかどうかを選択します。



    5. 終了

      ダウンロードしたパッケージを、ローカル環境にそのまま残しておくか削除するかを選択します。

      すべての処理が正常に終了すると、以下のような画面が表示されます。手動アップデータは、/tmp/mlupd.log にログ情報を出力しますで、処理終了後、念のため確認してください。



      以下の/tmp/mlupd.logはアップデートされたパッケージの例です。
      -Uhv:/var/mlupdater/pub/Miracle/ia32/standard/4.0/updates/RPMS/man-1.5o1-9.1AX.i386.rpm
      
      以下の/tmp/mlupd.logはアップデート対象外となったパッケージの例です。
      ocfs2-2.6.9-11.AXsmp-1.0.8-1.3AX: package to be excluded.
      



    6. トラブルシューティング

      1. ネットワーク障害
        mlupdaterのサーバはmlpkgsrv.miraclelinux.comです。このサーバのアドレスをDNSで引けないなどネットワーク障害の場合は、以下のような画面が表示されます。
        適切にインターネット設定がなされているか確認してください。

      2. サーバメンテナンス
        mlpkgsrv.miraclelinux.comがメンテナンス中は、以下のような画面が表示されます。
        この画面が表示された場合は、しばらく待ってから再度mlupdaterを実行してください。

      3. HTTPタイムアウト
        回線速度が遅い場合や、プロキシサーバのパフォーマンスが低い場合などにHTTPタイムアウトが発生すると、以下のような画面が表示されます。
        この場合は、/etc/mlupdater/mlupdater.confのhttp.timeoutの値を900から増やすことにより改善する可能性があります。

      4. パッケージアップデートエラー
        ダウンロードしたファイルが破損してる場合や、パッケージ依存関係の解決に失敗した場合は、以下のような画面が表示されます。
        手動アップデータは、/tmp/mlupd.log にログ情報を出力しますで、内容を確認してください。

        以下のmlupd.logは依存関係の解決に失敗している例です。

        error: Failed dependencies:
         kernel-smp = 2.6.9-11.25AX is needed by ocfs2-2.6.9-11.AXsmp-1.0.8-1.3AX.i386
        

  7. 自動アップデータ(mlupdaterd)

    自動アップデータは設定ファイル/etc/mlupdater/mlupdater.confの設定内容にしたがって動作します。

    1. 設定

      /etc/mlupdater/mlupdater.conf 内の auto_update.enable を yes に設定してください。
      ( no に設定されている場合はパッケージのダウンロードだけ行われます。)

      auto_update.enable              = yes
      
    2. 起動

      rootアカウントにて以下のように実行してください。

      # mlupdaterd
      

      設定された内容に従い、パッケージのダウンロード、およびアップデートインストール又はインストールを行います。

    3. 終了

      自動アップデータは作業を終了すると自動的に終了します。

    4. ログファイルのチェック

      自動アップデータの生成したログファイルをチェックすることを推奨します。初期設定では、/var/log/mlupdater.logファイルがログファイルとなります。

      以下の/var/log/mlupdater.logはアップデートされたパッケージの例です。

      coreutils: package to be updated to 5.2.1-31.2.
      
      以下の/var/log/mlupdater.logはアップデート対象外となったパッケージの例です。
      ocfs2-2.6.9-11.AXsmp-1.0.8-1.3AX: package to be excluded.
      

    5. crontab への登録

      crontab へ登録することにより定期的に最新パッケージのダウンロード、アップデートすることができます。

      # crontab -l > /tmp/cron.ent
      # echo '0 1 * * 1 /usr/sbin/mlupdaterd' >> /tmp/cron.ent
      # crontab /tmp/cron.ent
      # rm -f /tmp/cron.ent
      
    6. 手動アップデータの実行(任意のタイミング)

      auto_update.enable を no に設定した場合や、auto_update.exclude_packages に設定されている kernel パッケージは、パッケージの自動ダウンロードのみ行われ /var/mlupdater/pub以下のディレクトリに保存されます。
      サーバ管理者が手動アップデータを実行することにより、自動ダウンロードされたパッケージが利用され、 手動アップデータ実行時点での、ダウンロード待ち時間が発生しないメリットがあります。


  8. 配布サーバ

    ご利用環境内に複数のMIRACLE LINUXシステムが存在する場合、そのうちの1台を代表にしてミラクル・リナックス社からパッケージのダウンロードを行わせます。残りのホストはその代表からパッケージを取り出すため、LAN-WAN間のネットワークトラフィックを軽減させることが可能です。

    セキュリティ上の制約からサーバファームに存在するサーバ全てが外部ネットワークとの通信が行えないケースでも、配布サーバにCD-RやUSBハードディスクなどでミラクル・リナックスのパッケージ配信サーバの内容をコピーすることにより、サーバファームのサーバが配布サーバからmlupdaterを利用することができます。

    配布サーバには「自動配布サーバ」、「手動配布サーバ」、「代表サーバ」の3つの運用形態があります。


    1. 自動配布サーバ

        自動配布サーバ上で、自動アップデータ (mlupdaterd)、HTTPサーバ (httpd) を実行する事で自動配布サーバとして機能させます。
        配布サーバがミラクル・リナックス社のパッケージ配信サーバに直接接続可能な場合はダウンロードの手間が軽減されます。
        ※自動配布サーバとmlupdaterを利用するクライアントが同じバージョン、アーキテクチャの場合にのみ利用できます。

      1. 自動配布サーバの準備。
        • /etc/mlupdater/mlupdater.conf 内の updater.server を次のように設定します。
          updater.server          = mlpkgsrv.miraclelinux.com
          
        • HTTP で、ダウンロードディレクトリにアクセスできるようにします。
          # ln -s /var/mlupdaterd/pub /var/www/html/pub
          
      2. 自動配布サーバのホスト名 mlpkgsrv のIPアドレスが解決できる環境を構築します。

        DNSエントリあるいはNIS,LDAP等に mlpkgsrv を追加します。このとき、IPアドレスには代表ホストのIPアドレスを設定します。

      3. 自動配布サーバにて mlupdaterd、httpd を実行します。

        # mlupdaterd
        # service httpd start
        

        ※mlupdaterd を定期的に実行させたい場合は、mlupdaterd を crontab等へ登録してください。

      4. その他のホストにて手動アップデータ(mlupdater) もしくは 自動アップデータ(mlupdaterd)を実行します。

        これらのホストから、mlpkgsrv という名前で自動配布サーバのIPアドレスが引ける状態である必要があります。


    2. 手動配布サーバ

        CD-RやUSBハードディスクなどの手段を用い、必要なディレクトリ構造をHTTPサーバ (httpd) で公開することにより手動配布サーバとして機能させます。
        手動配布サーバが外部ネットワークと隔離されており、直接ミラクル・リナックス社のパッケージ配信サーバに接続できない場合や、手動配布サーバとmlupdater利用クライアントのバージョン、アーキテクチャが異なる場合にはこの運用形態が適しています。

      1. 手動配布サーバへのファイルのコピー。

          手動配布サーバにミラクル・リナックス社のftp.miraclelinux.comサーバの必要なディレクトリ内容をダウンロードしてコピーします

             
        • MIRACLE LINUX Standard Edition V2.1
          http又はftpでftp.miraclelinux.com/pub/Miracle/ia32/standard/2.1/updates/RPMSの全てのファイルを /var/mlupdater/pub/Miracle/ia32/standard/2.1/updates/RPMSにコピーします。
             
        • MIRACLE LINUX V3.0 - Asianux Inside
          http又はftpでftp.miraclelinux.com/pub/Miracle/ia32/standard/3.0/updates/RPMSの全てのファイルを /var/mlupdater/pub/Miracle/ia32/standard/3.0/updates/RPMSにコピーします。
             
        • MIRACLE LINUX V3.0 - Asianux Inside for x86_64
          http又はftpでftp.miraclelinux.com/pub/Miracle/x86_64/standard/3.0/updates/RPMSの全てのファイルを /var/mlupdater/pub/Miracle/x86_64/standard/3.0/updates/RPMSにコピーします。
             
        • MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside
          http又はftpでftp.miraclelinux.com/pub/Miracle/ia32/standard/4.0/updates/RPMSの全てのファイルを /var/mlupdater/pub/Miracle/ia32/standard/4.0/updates/RPMSにコピーします。
             
        • MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside for x86_64
          http又はftpでftp.miraclelinux.com/pub/Miracle/x86_64/standard/4.0/updates/RPMSの全てのファイルを /var/mlupdater/pub/Miracle/x86_64/standard/4.0/updates/RPMSにコピーします。
             
        • MIRACLE LINUX V4.0 One - Asianux Inside
          MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Insideと同じ作業です。
             
        • MIRACLE LINUX V4.0 One - Asianux Inside for x86_64
          MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside for x86_64と同じ作業です。

      2. HTTP で、ダウンロードディレクトリにアクセスできるようにします。
        # ln -s /var/mlupdaterd/pub /var/www/html/pub
        
      3. 手動配布サーバのホスト名 mlpkgsrv のIPアドレスが解決できる環境を構築します。

        DNSエントリあるいはNIS,LDAP等に mlpkgsrv を追加します。このとき、IPアドレスには手動配布サーバのIPアドレスを設定します。

      4. 手動配布サーバにて httpd を実行します。

        # service httpd start
        
      5. その他のホストにて手動アップデータ(mlupdater) もしくは 自動アップデータ(mlupdaterd)を実行します。

        これらのホストから、mlpkgsrv という名前で手動配布サーバのIPアドレスが引ける状態である必要があります。


    3. 代表サーバ

        代表サーバのホストでライセンスサーバ (mllmd)、自動アップデータ (mlupdaterd)、HTTPサーバ (httpd) を実行する事で配布サーバとして機能させます。
        ※代表サーバとmlupdaterを利用するクライアントが同じバージョン、アーキテクチャの場合にのみ利用できます。

      1. 代表サーバの準備。
      2. ライセンスサーバのホスト名 mllicsrv と 配布サーバのホスト名 mlpkgsrv のIPアドレスが解決できる環境を構築します。

        DNSエントリあるいはNIS,LDAP等に mllicsrvmlpkgsrv を追加します。このとき、IPアドレスには代表ホストのIPアドレスを設定します。

      3. 代表サーバにて mllmdmlupdaterd、httpd を実行します。

        mllmdの起動、mllmd-1.1.x以前の場合
        # mllmd &
        
        mllmdの起動、mllmd-1.2.x以降の場合
        # service mllmd start
        
        mlupdaterdの起動、httpdの起動
        # mlupdaterd
        # service httpd start
        

        ※mlupdaterd を定期的に実行させたい場合は、mlupdaterd を crontab等へ登録してください。

      4. その他のホストにて手動アップデータ(mlupdater) もしくは 自動アップデータ(mlupdaterd)を実行します。

        これらのホストから、mllicsrv および mlpkgsrv という名前で代表サーバのIPアドレスが引ける状態である必要があります。


  9. 設定ファイル

    mlupdaterの設定ファイルファイルは/etc/mlupdater/mlupdater.confです。本設定ファイル内の各パラメタの設定は以下のようになります。

    凡例 ○:利用できます。
         ×:利用できません。
         △:注意点がありますが利用できます。
         -:このモードでは不要な設定です。
    
    1. ライセンスに関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      licpw.server mllicsrv ライセンスサーバ(mllmd)が稼動しているホストのホスト名あるいはIPアドレスを指定します。
      ホスト名を指定する場合は、そのホストからIPアドレスが解決できるような環境である必要があります。mllicsrvというホスト名からIPアドレスが解決できるような環境でアップデータを動作させた場合、アップデータは暗黙的にそのホストをライセンスサーバとして扱います。
      ホスト名指定が存在しないあるいは存在しないホストを指定した場合は、mllicsrvというホストを検索します。それでも見つからない場合、アップデータは次のlicpw.entryに設定されているライセンスパスワードを利用します。
      licpw.entry 90日間利用パスワード スタンドアロン・ライセンスのライセンスパスワードを指定します。
      ライセンスサーバからライセンスサーバ・ライセンスが取得できなかった場合、アップデータはここで設定されているライセンスの使用を試みます。

    2. パッケージ配布サーバに関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      updater.server mlpkgsrv.miraclelinux.com パッケージ配布サーバのホスト名あるいはIPアドレスを指定します。
      ホスト名を指定する場合は、そのホスト名からIPアドレスが解決できなければなりません。
      ライセンスサーバ・ライセンスを取得していて、かつ、mlpkgsrvというホスト名からIPアドレスが解決できるような環境でアップデータを起動させた場合、アップデータは自動的にそのホストをパッケージ配布サーバとして扱います。
      updater.port 80 パッケージ配布サーバのポート番号を指定します。
      ライセンスサーバ・ライセンスを取得していない環境下ではここで設定された値は無視され、80番が使用されます。

    3. サーバ接続に関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      http.timeout 900 パッケージ配布サーバに HTTP プロトコルで接続する際に、タイムアウト処理を行うまでの時間を秒単位で指定します。この時間を過ぎると mlupdater はファイルのダウンロードに失敗したとみなします。

    4. proxyサーバに関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      proxy.server なし プロキシサーバのホスト名あるいはIPアドレスを指定します。
      ホスト名を指定する場合は、そのホスト名からIPアドレスが解決できなければなりません。
      proxy.port 3128 プロキシサーバのポート番号を指定します。
      proxy.user なし 認証処理が必要なプロキシサーバ利用の際、そのためのユーザ名を指定します。
      proxy.passwd なし 認証処理が必要なプロキシサーバ利用の際、そのためのパスワードを指定します。


    5. メール送信機能に関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      mail.enable yes × 自動アップデータ利用時に、アップデータの動作状況をメールで送信するかどうかを指定します。
      yesまたはnoを指定することができます。
      mail.server localhost × SMTPサーバのホスト名あるいはIPアドレスを指定します。
      ホスト名を指定する場合は、そのホスト名からIPアドレスが解決できなければなりません。
      mail.to root@localhost × メールの送信先アドレスを指定します。
      mail.from root@localhost × メールのFrom:行での送信元アドレスを指定します。


    6. 手動アップデート関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      manual_update.select_mode all × 手動アップデータ起動時にパッケージ選択を行うか否かを指定します。

      設定可能な値は次の通り
      all = システムにインストールされている全パッケージを選 択します。
      none = パッケージの選択は行いません。
      conf = auto_update.packagesと
      auto_update.exclude_packagesに指定されている内容に従いパッケージの選択を行います。※

      ※auto_update.exclude_packagesに指定されたパッケージはパッケージ選択画面に表示されません。

    7. 自動ダウンロード機能に関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      auto_download.enable yes × 自動ダウンロード機能を有効にするか否かを指定します。
      yesまたはnoを指定することができます。
      auto_download.path /var/mlupdater ダウンロードしたアップデートパッケージを保管するパスを絶対パス名で指定します。
      auto_download.packages .* × 自動ダウンロードするパッケージのパッケージ名を指定します。パッケージ名には正規表現を利用することができ、また、複数指定する場合は、,(カンマ)で区切って指定します。※
      auto_download.exclude_packages なし × 自動ダウンロードしないパッケージのパッケージ名を指定します。パッケージ名には正規表現を利用することができ、また、複数指定する場合は、,(カンマ)で区切って指定します。※
      auto_download.dev_cd yes × Developer CD に含まれるパッケージを自動ダウンロードするか否かを指定します。
      yesまたはnoを指定することができます。
      auto_download.del_upon_comp no × アップデート後、ダウンロードしたパッケージを削除するか否かを指定します。
      yesまたはnoを指定することができます。

      ※同じパッケージが、auto_download.packages と auto_download.exclude_packages の両方で指定された場合は、auto_download.exclude_packages の指定が優先されます。

    8. 自動アップデート関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      auto_update.enable no - 自動アップデート機能を有効にするか否かを指定します。
      yesまたはnoを指定することができます。
      auto_update.packages .* × 自動アップデートするパッケージのパッケージ名を指定します。パッケージ名には正規表現を利用することができ、また複数指定する場合は、,(カンマ)で区切って指定します。※1
      auto_update.exclude_packages kernel.*, php.*, tomcat.*, samba.*, postgresql.*,
      ^ocfs2.*,^oracleasm.*
      △※2 自動アップデートしないパッケージのパッケージ名を指定します。パッケージ名には正規表現を利用することができ、また複数指定する場合は、,(カンマ)で区切って指定します。※1
      auto_update.install_packages kernel$, kernel-smp$, kernel-enterprises$, kernel-hugemem$,
      ^kernel-.*-*driver-aarich$,
      ^kernel-.*-*driver-a320raid$,
      ^kernel-.*-largesmp$,^ocfs2$
      アップデート時にアップデートインストールではなく、インストールモードでインストールを行うパッケージを指定します。パッケージ名には正規表現を利用することが でき、また、複数指定する場合は、,(カンマ)で区切って指定します。デフォルト値として設定されているパッケージをここから削除しても、強制的にインストールモードでインストールされます。

      ※1同じパッケージが、auto_update.packages と auto_update.exclude_packages の両方で指定された場合は、auto_update.exclude_packages の指定が優先されます。

      ※2手動アップデート機能に関する設定でmanual_update.select_mode = confとなっている場合は使われます。

    9. ログファイルに関する設定
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      log.path /var/log/mlupdater.log × ログファイルのファイル名を絶対パス名で指定します。
      log.rotate_enable yes × ログファイルのローテーション(切り替え)機能を有効にするか否かを指定します。
      yesまたはnoを指定することができます。
      log.rotate_size 32 × ローテーションを行う際のファイルサイズの大きさをKB単位で指定します。
      log.rotate_count 16 × 切り替えられた過去のログファイルの保存個数を指定します。
      過去のログファイルはlog.pathで指定されたファイル名.n [n=1,2,3,...]という形式で保存されます。
      log.compress_enable yes × ログファイルの切り替え時に、過去のログファイルを圧縮するか否かを指定します。圧縮処理はgzip形式となりますのでzcatコマンド等で参照することができます。

    10. パラメタサーバに関する設定
      ※本機能は現在未提供です。
      パラメタ名デフォルト値手動自動用途
      param.priority remote mlupdater.confの設定をローカルにあるmlupdater.confからではなく、mlprmsrvから取得します。この場合、mlprmsrvというホスト名が解決できなければなりません。remote(mlprmsrvから取得)またはlocal(localのものを使用)を指定することができます。

  10. 注意事項

    以下の注意事項があります。

    1. 依存解決に問題が発生する場合があります。

      ご利用のシステム環境によってはパッケージの依存解決に失敗する場合があります。この場合、パッケージのダウンロード処理は正常に行えますが、アップデートに失敗します。ダウンロードしたファイルは保存されていますので手動にてアップデートを行ってください。なお、依存解決の情報はログファイルに出力されています。

      対処例:以下のエラーメッセージが出力された場合

      〜〜〜省略〜〜〜
      error: Failed dependencies:
              httpd = 2.0.52-22.ent.2AX is needed by mod_ssl-2.0.52-22.ent.2AX.i386
      Failed to update packages.
      
      設定ファイル(mlupdater.conf)のauto_update.exclude_packagesにmod_sslにマッチする正規表現を追記します(例: ^mod_ssl.*)。再度実行してアップデートが失敗しないかどうか確認してください。
      ※追記しても一度で、全ての依存関係を解決できないことがあります。その場合、複数回MLUpdaterを実行する必要があります。

    2. カーネルのアップデートについて

      カーネルは必ずインストールモードでインストールされますが、/etc/lilo.confに新しいエントリの追加が行われない場合があります。/etc/lilo.confを確認を上、必要に応じて手動で編集の上liloコマンドを実行してください。
      ※MIRACLE LINUX V2.1をご利用の場合。

    3. サービスに関するアップデートについて

      自動アップデータを利用する場合、ホストが主たる目的で提供しているサービスに関連するパッケージは自動アップデートを避けた方がよい場合があります。パッケージによっては、データマイグレーションが必要なものが存在する場合があります。


  11. mlupdaterに関するFAQ


      Q1. インストール後90日経っていないのにmlupdaterが「ライセンス期限切れです。」と出て使用できない。
       A. mlupdaterの初期期限90日はO.S.がインストールされた日から計算されます。
      このためハードウェア時計をO.S.インストール後に修正すると起算日がずれます。 ハードウェア時計の修正はOSインストール前に行ってください。

      Q2. 自動/手動アップデータの違い
       A. 自動アップデータはバックグラウンドで実行します。
         手動アップデータは端末上からインタラクティブに実行します。

      Q3. mlupdaterはどのパッケージですか?
       A. mlupd-XXX.rpmです。

      Q4. 自動/手動アップデータのログファイルは?
       A. 自動アップデータ(mlupdaterd)→/var/log/mlupdater.log
         手動アップデータ(mlupdater)→/tmp/mlupd.log

      Q5. 設定ファイルは?
       A. /etc/mlupdater/mlupdater.confです。

      Q6. ライセンスパスワードは何処に設置するのでしょうか?
       A. mlupdater.confの"licpw.entry="の所に記入します。

      Q7. mlupdaterの起動の仕方は?
       A. 端末(Konsoleや仮想端末)上で/usr/sbin/mlupdaterを実行します。

      Q8. X上でないと使用できないのでしょうか。
       A. 仮想端末上でも可能です。よってssh経由でも行えます。

      Q9. mlupdaterの入手先は?
       A. 製品同梱のDevelper CD-ROMに収録されておりますが、最新版のmlupdaterプログラムが以下のURLより入手できますので、最新版のご利用を推奨します。
         http://www.miraclelinux.com/update/linux/list.php?package_name=mlupd

      Q10. mlupdaterをmlupdaterでアップデートできますか?
       A. アップデートできます。

      Q11. ライセンスサーバと配布サーバの関係について。
       A. ライセンスサーバと配布サーバの依存関係はありません。
         どちらか一方の運用や、一台のサーバに両機能を同居することも可能です。
         詳細は本文書のライセンスサーバ配布サーバの項を参照してください。

      Q12. ライセンスパスワード有効期限の延長について。
       A. 契約更新によりライセンスパスワード期限を延長する場合は、   新たにライセンスパスワードを申請し、mlupdater.confの"licpw.entry="に記入します

      Q13. 自動アップデータの結果はメールで通知できますか?
       A. mlupdater.confに設定することにより、自動アップデータの実行結果をメールで 送信することが可能です。

      Q14. mlupdarerでエラーが発生した時は
       A. トラブルシュートの項を参照してください。
         それぞれのログ内容を確認して対処してください。
         自動アップデータ→/var/log/mlupdater.log
         手動アップデータ→/tmp/mlupd.log

      Q15. セキュリティ上の制約からMIRACLE LINUX をインタネットに接続していないのです が、mlupdaterを使ってアップデートを行うことは可能ですか。
       A. はい、手動配布サーバを運用することにより可能です

      Q16. 一台の代表サーバで複数のバージョン、アーキテクチャのクライアントは利用可能ですか
       A. はい、代表サーバ手動配布サーバを併用することにより可能です

      Q17. mlupdater を実行後、再起動すると起動しなくなりました。
       A. mlupdaterでkernel パッケージが更新されている可能性があります。
         ブートローダ(grub/lilo等)で、古いkernel を選択し起動して下さい。


  12. APPENDIX

      アップデータで利用する特殊なホスト名

      ホスト名使用サービス用途
      mlpkgsrvmlupdaterd, httpd配布サーバのデフォルトのホスト名です。
      mllicsrvmllmdライセンスサーバのデフォルトのホスト名です。
      mlprmsrv--パラメタサーバのデフォルトのホスト名です。
      ※現在未提供機能です。

2006/12/28ログの出力例を追記。手動アップデータの設定について脚注を改定。依存解決に関する注意事項を改定。自動アップデータの設定のデフォルト値改定
2006/07/14手動アップデータの設定新規追記 自動アップデータの設定のデフォルト値改定
2006/04/14mlupdaterに関するFAQを追加
2006/04/10手動アップデータのトラブルシュート追記
2006/03/29配布サーバの利用方法、手動アップデータのオペレーション改定
2005/01/31http.timeoutについて追記
2003/10/07初版

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